フローチャート記号の意味一覧|JIS規格の基本10種と使い方

フローチャートを書こうとして、「この四角とひし形、どう使い分けるんだっけ?」と手が止まった経験はありませんか。記号の意味があいまいなままだと、自分は描けても読み手に正しく伝わらない図になってしまいます。
この記事では、JIS規格(JIS X 0121)で定められたフローチャート記号のうち、実務で使う主要10種の意味と使い方を一覧表と図例つきで解説します。読み終える頃には、迷わず正しい記号を選べるようになります。
この記事でわかること
- JIS X 0121に基づく主要10記号の意味がわかる一覧表
- 端子・処理・判断・矢印など、記号ごとの正しい使い方
- 10記号を組み合わせた実際のフローチャートの図例
- 初心者がやりがちな記号の間違い3つとその対策
フローチャート記号の意味一覧|基本の10記号
結論から言うと、フローチャートの記号はJIS規格「JIS X 0121(情報処理用流れ図記号)」で形と意味が決められており、実務では次の10種類を覚えれば十分です。記号は図の「共通言語」なので、自己流の形を使うと読み手に誤解を与えてしまいます。
| 記号名 | 形 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 端子(ターミナル) | 角丸四角形・楕円 | フローの開始と終了 | 図の入口と出口に必ず1つずつ置く |
| 処理(プロセス) | 長方形 | 1つの作業・処理 | 「見積書を作成する」などの具体的な作業 |
| 判断(デシジョン) | ひし形 | 条件による分岐 | 「承認OK?」などYes/Noで分かれる箇所 |
| 流れ線(矢印) | 実線+矢印 | 処理の順序と方向 | 記号同士をつなぎ、流れを示す |
| データ(入出力) | 平行四辺形 | データの入力・出力 | 「注文情報を入力」「結果を出力」など |
| 書類(ドキュメント) | 下辺が波形の四角 | 帳票・書類の入出力 | 「請求書を発行」など紙やPDFの出力 |
| 準備(プレパレーション) | 六角形 | 事前準備・初期設定 | 変数の初期化、作業前の段取り |
| 定義済み処理 | 左右が二重線の長方形 | 別に定義された一連の処理 | サブルーチン、別図で詳細化した業務 |
| ループ端 | 上下で対になる六角形状 | 繰り返し処理の開始と終了 | 「全件処理するまで繰り返す」など |
| 結合子(コネクタ) | 小さい円 | 離れた流れ線の接続 | ページをまたぐ図、交差を避けたいとき |
この10種のうち、最初に覚えるべきは上から4つ(端子・処理・判断・流れ線)です。実際のフローチャートの8割以上はこの4記号だけで構成されます。残りの6記号は、必要になったときに参照すれば問題ありません。
必ず覚えたい4つの基本記号の使い方
まずは出現頻度が圧倒的に高い4つの基本記号から、使い方のポイントを順に解説します。この4つを正しく使い分けられれば、読みやすいフローチャートの土台は完成です。
端子(角丸四角形)|フローの開始と終了
端子は、フローチャートの「入口」と「出口」を表す記号です。角を丸めた四角形(または楕円)で描き、中には「開始」「終了」、あるいは「注文を受領」「出荷完了」のようにフローの起点・終点となる事象を書きます。1つの図に開始は必ず1つ、終了は分岐の結果に応じて複数あっても構いません。
処理(長方形)|1つの作業を表す最頻出記号
処理は、フローチャートで最もよく使う記号です。長方形の中に「在庫を確認する」「メールを送信する」のように、動詞で終わる具体的な作業を1つだけ書きます。複数の作業を1つの長方形に詰め込むと、流れの粒度がバラバラになり読みにくくなるため注意しましょう。
判断(ひし形)|Yes/Noで分かれる分岐点
判断は、条件によって流れが分かれる箇所に使うひし形の記号です。中には「在庫あり?」「承認する?」のように疑問形で条件を書き、出ていく矢印には「Yes/No」「あり/なし」などの結果ラベルを必ず付けます。ラベルのない分岐は、フローチャートで最も多い「伝わらない原因」です。
流れ線(矢印)|処理の順序を示す
流れ線は、記号と記号をつないで処理の順序を示す実線の矢印です。原則として上から下、または左から右へ一方向に流し、やむを得ず逆行する場合(差し戻しループなど)だけ上向きの矢印を使います。線の交差はできる限り避けるのが鉄則です。
この4記号だけでも、日常業務の大半はフローチャート化できます。まずは身近な業務をこの4つで描いてみると、記号の使い分けが自然と身につきます。複雑な記号を覚えるのは、その後で十分です。
データ・書類・準備を表す3つの記号
基本4記号の次に登場頻度が高いのが、データや書類のやり取りを表す記号です。システム設計や事務業務のフローで活躍します。
データ(平行四辺形)|入力と出力
データ記号は、情報の入力・出力を表す平行四辺形です。「顧客情報を入力する」「集計結果を出力する」のように、処理(作業そのもの)と区別してデータの出入りを明示したいときに使います。プログラムのフローチャートでは特に重要な記号です。
書類(下辺が波形)|帳票・ドキュメントの出力
書類記号は、下の辺が波形になった四角形で、紙の帳票やPDFなどのドキュメントを表します。「請求書を発行する」「報告書を提出する」など、成果物が書類の形を取る場合はデータ記号ではなくこちらを使うと、図の意図がより正確に伝わります。
準備(六角形)|初期設定・段取り
準備記号は、本処理の前に行う初期設定を表す六角形です。プログラムなら「カウンタを0にする」などの変数初期化、業務なら「会場を設営する」などの段取りに使います。使用頻度は高くありませんが、ループ処理の前準備を明示する際に便利です。
なお、ExcelやPowerPointの図形ライブラリでは、これらの記号は「フローチャート」カテゴリにまとまっています。形に迷ったら、ツール側の図形名を確認すると確実です。
応用で使う3つの記号|定義済み処理・ループ・結合子
フローチャートが大きく複雑になってきたら、次の3つの記号で図を整理しましょう。いずれも「図を分割して読みやすくする」ための記号です。
定義済み処理(二重線の長方形)|別図に切り出した処理
定義済み処理は、左右の辺が二重線になった長方形で、「詳細は別のフローチャートで定義済み」という意味を表します。たとえば受注フローの中の「与信チェック」を別図に切り出し、本体側ではこの記号1つで表現すれば、図全体の見通しが良くなります。
ループ端|繰り返し処理の範囲を示す
ループ端は、繰り返し処理の開始と終了を上下で挟む対の記号です。開始側に「全注文分を繰り返す」のような繰り返し条件を書き、終了側で対応関係を示します。判断記号と逆行矢印でもループは表現できますが、繰り返し範囲が長い場合はループ端の方が明快です。
結合子(小さい円)|離れた箇所をつなぐ
結合子は、流れ線を直接引くと交差だらけになってしまう場合や、図が複数ページにまたがる場合に使う小さい円です。円の中にA、Bなどの同じ記号を書いた結合子同士がつながっている、というルールで流れを引き継ぎます。多用すると逆に追いにくくなるため、1図あたり数個までに抑えましょう。
この3記号に共通するのは「1枚の図に詰め込まない」という思想です。処理の数が20個を超えてきたら、定義済み処理や結合子を使って図を分割するサインだと考えましょう。
記号を使ったフローチャートの書き方|3つのルールと図例
記号の意味を覚えたら、次は組み合わせ方です。読みやすいフローチャートには共通する3つのルールがあります。
- 流れは一方向に統一する:上から下(または左から右)へ流し、逆行は差し戻しなどの例外だけにする
- 1記号1内容を守る:処理の長方形には作業を1つだけ書き、粒度をそろえる
- 分岐には必ずラベルを付ける:判断記号から出る矢印にYes/Noなどの結果を明記する
3つのルールに加えて、記号の中に書く文言にも気を配りましょう。処理は「〜する」と動詞で終え、判断は「〜?」と疑問形にすると、形だけでなく言葉のレベルでも図が統一され、読み手の負担が減ります。
図例:請求書発行業務のフローチャート
ここまでに紹介した記号を組み合わせた実例として、請求書発行業務のフローチャートを見てみましょう。端子・処理・判断・データ・定義済み処理が、それぞれの役割で登場しています。
角丸四角形が開始・終了、平行四辺形がデータ入力、二重線の長方形が定義済み処理(与信チェックの詳細は別図)、ひし形が分岐です。記号の使い分けによって、文章で説明しなくても各ステップの性質が伝わることがわかります。
図例:判断とループを含むフローチャート
もう1つ、検品作業のように「OKになるまで繰り返す」流れの例です。判断記号からの逆行矢印で、やり直しのループを表現しています。
フローチャート記号のよくある間違い3選
記号の意味を知っていても、使い方を誤ると伝わらない図になります。初心者がやりがちな間違いを3つ、対策とセットで紹介します。
間違い1:処理と判断を混同する
「在庫を確認する」を、ひし形(判断)で描いてしまうケースです。確認という作業自体は処理(長方形)であり、その結果による分岐「在庫あり?」が判断(ひし形)です。作業と分岐を分けて描くと、流れが格段に追いやすくなります。
間違い2:開始・終了の端子を省略する
端子のないフローチャートは、どこから読み始めてどこで終わるのかが読み手に伝わりません。特に複数の図を行き来する資料では、入口と出口の明示が必須です。どんなに小さい図でも、開始と終了の端子は必ず置きましょう。
間違い3:自己流の形やExcelの図形を意味なく使う
雲形や星形など規格にない図形を装飾的に使うと、読み手は「この形に特別な意味があるのか?」と迷ってしまいます。形のバリエーションを増やすのではなく、JISの記号に統一し、強調したい箇所は色や太字で表現するのが正解です。
記号を覚えたら、ツールで作成を効率化しよう
記号の意味と使い方がわかれば、あとは描くだけです。ただし、ExcelやPowerPointで図形を1つずつ配置すると、整列や矢印の付け替えに時間がかかり、修正のたびにレイアウトが崩れがちです。
DrillSparkなら、業務内容を文章で伝えるだけでAIがフローチャートの下書きを約30秒で生成します。記号の使い分けやレイアウトはツール側が自動で整えるため、あなたは流れの中身を考えることに集中できます。無料プランでAI生成を試せるので、この記事で覚えた記号の答え合わせも兼ねて、まずは1つ図を作ってみてください。
まとめ|まずは4つの基本記号から使いこなそう
この記事のまとめ
- フローチャート記号はJIS X 0121で定められた共通言語。主要10種で実務は十分
- 最優先で覚えるのは端子・処理・判断・流れ線の基本4記号
- データ・書類・定義済み処理などの記号で、図の意図をより正確に表現できる
- 「処理と判断の混同」「端子の省略」「自己流の形」が3大NG
記号は一度に全部覚える必要はありません。まずは基本の4記号で小さなフローチャートを描き、必要になったタイミングでこの記事の一覧表に戻って確認する、という使い方がおすすめです。