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なぜなぜ分析のやり方|人を責めずに真因へ届く問い方と、事務ミスの分析例

公開日 約9分で読めます
付箋を貼った資料を囲んで話し合うチーム

「ミスが起きたから、なぜなぜ分析して報告して」。そう言われて始めてみたものの、5回目の「なぜ」が「担当者の不注意」で終わり、本人を責める会になってしまった。そんな経験はありませんか。

なぜなぜ分析は、人ではなく工程と仕組みに向けて問うと、再発を止める原因に届きます。そのためには「どの工程で起きたか」を先に決めておくことが近道です。

この記事では、請求書の送り先違いを例に、問い方・記入例・報告書の欄、そして再発防止策を手順の変更として出す方法までを紹介します。

この記事でわかること

  • なぜなぜ分析の基本と、「責める会」「意味ない」になってしまう理由
  • 事務ミス(請求書の送り先違い)を5段で掘った記入例
  • 業務フロー図で起きた工程を特定してから掘る5ステップ
  • 「不注意」で止めないための問いの言い換え4つ
  • 再発防止策を「手順の変更」として書く3つの型と、報告書の記入欄

なぜなぜ分析とは?押さえておく3つの基本

なぜなぜ分析は、起きた問題に「なぜ」を重ねて、同じ問題を二度と起こさないために変えるべき仕組み(真因)を見つける方法です。個人のスキル不足のような表面の理由で止めず、工程や仕組みの原因まで掘るのが目的です。

定義と由来|「5回」は目安

トヨタ生産方式で使われてきた「なぜを5回繰り返す」考え方が始まりとされます。ただし5回は目安です。回数を守ることより、手を打てる工程や仕組みに届いたかどうかで止めどころを決めます。

「現象」と「原因」を分ける

「請求書が別の会社に届いた」は現象で、このままでは対策が打てません。まず現象を事実として書き、それを生んだ工程と仕組みを掘っていくのがなぜなぜ分析です。

特性要因図との違いと使い分け

特性要因図(石川馨が考案した、魚の骨の形の図)は、人・機械・材料・方法などの切り口で要因を広く洗い出す道具です。なぜなぜ分析は1本を深く掘る道具です。原因の見当がつかないときは特性要因図で広げてから、有力な1〜2本をなぜなぜで掘ります。

項目なぜなぜ分析特性要因図
向いている場面原因の見当がつく1件原因の候補が多く、見当がつかない
形縦に1本の「なぜ」の連鎖魚の骨の枝
成果手を打つ工程と仕組み要因の一覧
弱み1本道で別の原因を見落とす掘りが浅くなりやすい
現場の業務改善担当

ミナミさん

現場の業務改善担当

前にやったら、最後は「私の確認不足です」って書かされて、ただの反省文でした…。

DrillSparkコンサルタント

スパーク先輩

DrillSparkコンサルタント

それは問いが人に向いていたからなんだ。この記事では、工程と仕組みに向けて問う方法を順に見ていこう。

事務ミスのなぜなぜ分析例|請求書の送り先違いを5段で掘る

事務ミスでも、起きた工程を業務フロー図で特定してから掘れば、「担当者の不注意」ではなく「請求書と宛名を別々に印刷して手で組み合わせる手順」という直せる原因に届きます。

たとえば、従業員30名のビルメンテナンス会社で、毎月末に約120通の請求書を郵送しているとします(架空の例)。10月末の発送で、A社宛ての請求書がB社宛ての封筒に入って届き、B社から連絡がありました。過去半年で、同じ種類の誤送付は3件目です。

まず起きた工程を業務フロー図で特定する

聞き取りの前に、発送までの流れを図にして、ミスが起きた工程に印を付けます。「誰が間違えたか」ではなく「どの工程で起きたか」から始めると、問いが自然に仕組みへ向きます。

図1:請求書発送の現状フロー。送り先違いは「手で組み合わせる」工程で起きていた(架空の例)
図の内容(テキスト)

図に出てくる項目

  1. 月末締め
  2. 会計ソフトで請求書を印刷する
  3. 上長が金額を確認する
  4. 金額は正しい?
  5. Excelの顧客台帳から宛名ラベルを印刷する
  6. 【発生】請求書とラベルを手で組み合わせる
  7. 封入して郵送する
  8. 発送完了

流れ(矢印)

  • 月末締め → 会計ソフトで請求書を印刷する
  • 会計ソフトで請求書を印刷する → 上長が金額を確認する
  • 上長が金額を確認する → 金額は正しい?
  • 金額は正しい? →(いいえ)→ 会計ソフトで請求書を印刷する
  • 金額は正しい? →(はい)→ Excelの顧客台帳から宛名ラベルを印刷する
  • Excelの顧客台帳から宛名ラベルを印刷する → 【発生】請求書とラベルを手で組み合わせる
  • 【発生】請求書とラベルを手で組み合わせる → 封入して郵送する
  • 封入して郵送する → 発送完了

5段のなぜなぜ分析|記入例

図で決めた工程から「なぜ」を重ねます。答えの横に「確かめた方法」を書くのがコツです。推測の答えが混ざると、その先の「なぜ」がすべて推測になってしまいます。

段なぜ?答え(事実)確かめた方法
問題—10月末の発送で、A社宛ての請求書1通がB社の封筒に入って届いたB社からの連絡・返送された封筒
なぜ1なぜB社の封筒に入ったか封入のとき、請求書と宛名ラベルの組み合わせを取り違えた担当者への聞き取り
なぜ2なぜ取り違えが起きうるか請求書と宛名ラベルを別々に印刷し、約120組を手で突き合わせていた作業の観察
なぜ3なぜ突き合わせで取り違えが起きやすいか請求書は請求番号順、ラベルは顧客コード順で出力され、並び順が違うため、120組を1組ずつ探して合わせていた両方の出力を並べて確認
なぜ4なぜ別々の仕組みから出しているか3年前に会計ソフトを入れ替えたとき、ラベルだけ以前のExcelの顧客台帳から出す運用が残った当時の担当者への聞き取り
なぜ5なぜその運用が残ったかソフトを入れ替えるときに、前後の工程を見直す手順がなかった導入時の資料を確認

この例で手を打つべき原因は、なぜ2〜4で見えた「並び順の違う2つの印刷物を手で突き合わせる手順」と、なぜ5の「仕組みを変えるときに工程を見直す手順がないこと」です。どちらも、担当者を替えても残る原因です。

人で止まった分析との違い

同じ件を人に向けて問うと、次のように2段で止まります。

  • なぜ1:担当者が宛先の確認を怠ったから
  • なぜ2:担当者の注意力が足りなかったから
  • 対策:今後は十分に気をつける

この分析では、120組を手で突き合わせる手順がそのまま残ります。担当者が替わっても、同じ人がどれだけ気をつけても、忙しい月末にはいずれまた起きます。

自分の件でも、まず起きた業務の流れを図にして、どの工程で起きたかに印を付けてみましょう。流れを文章で書けば、AIが業務フロー図の下書きを作ります。

現場の業務改善担当

ミナミさん

現場の業務改善担当

でも、取り違えたのは実際に担当者ですよね?

DrillSparkコンサルタント

スパーク先輩

DrillSparkコンサルタント

そうだね。ただ、別の人が同じ手順でやっても起きたかを考えてみよう。起きるなら、直すのは手順のほうなんだ。

なぜなぜ分析のやり方5ステップ

問題を事実で書く → 起きた工程を図で特定する → 工程と仕組みに向けて「なぜ」を重ねる → 「だから」で逆にたどって確かめる → 対策を手順の変更として書く、の5ステップで進めます。「業務改善の進め方」の記事の6ステップでいえば、課題を洗い出すステップ3で、その原因を掘り下げるときに使います。

図2:なぜなぜ分析の5ステップと、その後の効果確認。逆にたどれない段は掘り直す
図の内容(テキスト)

図に出てくる項目

  1. 問題を事実と数字で書く
  2. 業務フロー図で起きた工程に印を付ける
  3. 工程と仕組みに向けてなぜを重ねる
  4. だからで逆にたどれる?
  5. 対策を手順の変更として書く
  6. 業務フロー図と手順書を直す
  7. 効果を確かめる

流れ(矢印)

  • 問題を事実と数字で書く → 業務フロー図で起きた工程に印を付ける
  • 業務フロー図で起きた工程に印を付ける → 工程と仕組みに向けてなぜを重ねる
  • 工程と仕組みに向けてなぜを重ねる → だからで逆にたどれる?
  • だからで逆にたどれる? →(いいえ)→ 工程と仕組みに向けてなぜを重ねる
  • だからで逆にたどれる? →(はい)→ 対策を手順の変更として書く
  • 対策を手順の変更として書く → 業務フロー図と手順書を直す
  • 業務フロー図と手順書を直す → 効果を確かめる
ステップやること成果物目安時間(この記事での目安)
1. 問題を書くいつ・どの帳票で・何件を1文にする問題文30分
2. 工程を特定する流れを図にして、起きた工程に印を付ける現状の業務フロー図15分
3. なぜを重ねる確かめた事実だけで答えを書くなぜなぜの記入表30分
4. 逆にたどる「だから」でつないで問題まで戻る確かめ済みの真因10分
5. 対策を書く工程をなくす・確認を置く・形を変える対策と対策後の図30分
分析は当事者1人に書かせず、前後の工程の担当を1人ずつ入れて3〜4人で行います。当事者しか知らない事実と、前後の工程から見える事実がそろい、責める空気にもなりにくくなります。

ステップ1:問題を事実と数字で書く

「いつ・どの帳票で・何件・どう困ったか」を1文にします。例:「10月31日発送分の請求書約120通のうち1通が、別の取引先に届いた。過去半年で3件目」。「担当者のミス」のように人を主語にした書き方は、この段階で外しておきます。

ステップ2:業務フロー図で起きた工程に印を付ける

図がなければ、関係者2〜3人で15分ほどかけて、ホワイトボードや付箋で下書きします。細かさは、ミスが起きた工程とその前後2つずつが見えれば十分です。図の描き方そのものは「業務フローの作り方」の記事で詳しく扱っています。

DrillSparkなら、流れを日本語で説明するとAIがフローチャートの下書きを作り、対話しながら直せます。起きた工程のノードに【発生】と書き足せば、分析の出発点になります。

ステップ3:工程と仕組みに向けて「なぜ」を重ねる

答えは推測でなく、聞き取り・作業の観察・記録で確かめた事実だけを書きます。答えが2つに分かれたら、枝を分けてそれぞれ掘ります。問い方のコツは次の節で紹介します。

ステップ4:「だから」で逆にたどって確かめる

一番下の原因から「だから」でつないで、問題まで戻れるかを読み上げます。請求書の例なら「工程を見直す手順がなかった → だからラベルだけExcelから出す運用が残った → だから並び順の違う2つを手で突き合わせた → だから取り違えた → だから別の会社に届いた」とつながります。

つながらない段があれば、そこから掘り直します。5回に届いたかどうかより、この逆算が通るかで止めどころを決めます。

ステップ5:対策を手順の変更として書き、図を直す

対策は「どの工程をなくすか・どこに確認を置くか」で書き、業務フロー図を対策後の形に描き直します。書き方の3つの型は、この後の節で詳しく紹介します。

人を責めずに真因へ届く問い方|言い換え4つ

「誰が」ではなく「どの工程で・何が」を主語にして問うと、答えが人で止まらず、手順や仕組みに進みます。

問いの主語を「人」から「工程」に変える

「なぜ確認しなかったのか」と聞かれた人は、自分を守る答えか反省の言葉しか返せません。「確認する工程はフローのどこにあったか」と聞けば、答えは図の上の場所になり、責める話になりにくくなります。

止まりがちな4つの答えと、言い換えた問い

次の4つの答えが出たら、人で止まりかけているサインです。「言い換えた問い」の列のように問い直すと、請求書の例では仕組みの原因が出てきました。

止まりがちな答え言い換えた問い出てきた原因の例
担当者が確認を怠った確認する工程はフローのどこにあったか。なかったのはなぜか封入の工程に照合の手順がない
注意力が足りなかった別の人が同じ手順でやっても起きたか請求書とラベルの並び順が違う
新人だったから新人が1人で正しくできる手順書や図はあったか発送の手順が口伝えだった
忙しかったから何が重なるとこの工程が忙しくなるか月末の半日で約120通を処理している

責める会にしない3つの約束

分析を始める前に、参加者全員で次の3つを確かめておきます。

  1. 分析表に個人名を書かない(担当は部署名までにする)
  2. 答えは推測でなく、確かめた事実で書く
  3. 対策に「注意する」「気をつける」を書かない

3つ目の約束があると、対策を考える段階で「では工程をどう変えるか」に話が向きます。最初に紙に書いて見える所に貼っておくと、話が人に戻りかけたときに指さして戻せます。

現場の業務改善担当

ミナミさん

現場の業務改善担当

上司が「結局、不注意だろ」と言ってきたら、どう返せばいいですか?

DrillSparkコンサルタント

スパーク先輩

DrillSparkコンサルタント

「不注意が起きても、外へ出る前に止まる手順にします」と、手順の話に戻すといいよ。人の話を否定せずに、次の一手を示せるんだ。

再発防止策を「手順の変更」として出す3つの型

再発防止策は「気をつける」ではなく、①ミスの起きる工程をなくす、②確認を起きた工程のすぐ後ろに置く、③間違えられない形にする、の3つの型のどれかで書き、フロー図のどこが変わるかまで示します。

型請求書の例フロー図の変化向いている場面
1. 工程をなくす宛名入りの請求書を窓付き封筒に入れるラベル印刷と手で組み合わせる工程が消える恒久対策。仕組みを変える時間が取れるとき
2. すぐ後ろで確認する封入の直前に顧客コードを照合する封入の前に照合の工程が1つ増える暫定対策。今月の発送に間に合わせたいとき
3. 間違えられない形にする請求書とラベルを同じ並び順で出す工程は同じで、突き合わせが順番どおりになる工程はなくせないが、設定や道具で変えられるとき

効きやすいのは型1です。型2は人の目に頼る部分が残るので、型1の準備が整うまでのつなぎに向いています。「なくす」を最初に考えるのは、ECRS(なくす→まとめる→入れ替える→簡単にする)と同じ発想です。ECRSは「ECRS(イクルス)とは?」の記事にまとめています。

型1:ミスが起きる工程そのものをなくす

宛名が印字された請求書を窓付き封筒に入れれば、ラベルを印刷する工程と手で突き合わせる工程が消え、宛名と中身の取り違えは起きなくなります。会計ソフトの請求書に宛名を載せられるかは、帳票の設定で確かめます。

型2:確認を、起きた工程のすぐ後ろに置く

封入の直前に、請求書とラベルの顧客コードが一致するかを照合します。確認は、ミスが起きた工程に近いほど効きます。発送の最後にまとめて見るより、1組ずつ封入する前のほうが取り違えに気づけます。

型3:間違えられない形にする

請求書とラベルを同じ顧客コード順で出す設定にすれば、突き合わせは上から順に重ねるだけになります。工程は残りますが、並び順の違いという取り違えの原因が消えます。

暫定対策と恒久対策を分けて書く

今月の発送に間に合う暫定対策(型2の照合)と、仕組みを変える恒久対策(型1の窓付き封筒)を分けて書きます。なぜ5の原因には、「システムを入れ替えるときは前後の工程の図を見直す」を導入時のチェック項目に加える対策を当てます。

図3:対策後の発送フロー。ラベル印刷と手で組み合わせる工程がなくなった(架空の例)
図の内容(テキスト)

図に出てくる項目

  1. 月末締め
  2. 会計ソフトで宛名入りの請求書を印刷する
  3. 上長が金額を確認する
  4. 金額は正しい?
  5. 窓付き封筒に封入する
  6. 封入数と請求件数を照合する
  7. 件数は一致?
  8. 封入漏れを探して封入する
  9. 郵送する
  10. 発送完了

流れ(矢印)

  • 月末締め → 会計ソフトで宛名入りの請求書を印刷する
  • 会計ソフトで宛名入りの請求書を印刷する → 上長が金額を確認する
  • 上長が金額を確認する → 金額は正しい?
  • 金額は正しい? →(いいえ)→ 会計ソフトで宛名入りの請求書を印刷する
  • 金額は正しい? →(はい)→ 窓付き封筒に封入する
  • 窓付き封筒に封入する → 封入数と請求件数を照合する
  • 封入数と請求件数を照合する → 件数は一致?
  • 件数は一致? →(いいえ)→ 封入漏れを探して封入する
  • 封入漏れを探して封入する → 封入数と請求件数を照合する
  • 件数は一致? →(はい)→ 郵送する
  • 郵送する → 発送完了

図3の「封入数と請求件数を照合する」は封入漏れに気づくための確認で、取り違えの対策ではありません。宛名と中身の取り違えは、型1で工程をなくしたことで起きなくなっています。1つの封筒に2通入れてしまった場合は、この件数照合で数が合わないことから気づけます。

対策を入れたら、業務フロー図と手順書をその週のうちに直します。直さないと、担当が替わったときに元のやり方へ戻りがちです。手順書の整え方は「業務マニュアルの作り方」の記事で扱っています。

現場の業務改善担当

ミナミさん

現場の業務改善担当

ダブルチェックを足すのが一番確実じゃないですか?

DrillSparkコンサルタント

スパーク先輩

DrillSparkコンサルタント

確認を重ねると、お互いに相手が見ていると思って見落とすこともあるんだ。まずは工程をなくせないかを考えて、確認は起きた場所のすぐ後ろに1つ置くのが先だよ。

なぜなぜ分析の報告書フォーマット|7つの記入欄

報告書は「件名・発生日、問題、起きた工程、なぜなぜ、真因、暫定対策と恒久対策、効果の確かめ方」の7つの欄にし、変更前後の業務フロー図を添付すると、読んだ人が対策の妥当性を判断できます。

7つの記入欄と書き方

記入欄書くこと請求書の例
1. 件名・発生日何が起きたかを短く。発生日と発覚日請求書の誤送付(10月31日発送分・11月2日発覚)
2. 問題事実と数字で1文約120通のうち1通が別の取引先に届いた。過去半年で3件目
3. 起きた工程業務フロー図のどの工程か図1の「請求書とラベルを手で組み合わせる」
4. なぜなぜなぜ1〜5と、確かめた方法記入例の表をそのまま貼る
5. 真因担当者を替えても残る原因並び順の違う2つを手で突き合わせる手順。入れ替え時に工程を見直す手順がない
6. 暫定対策と恒久対策手順の変更、実施日、担当部署暫定:封入前の照合(11月分から・総務)。恒久:宛名入り請求書と窓付き封筒(12月分から・経理)
7. 効果の確かめ方いつ・何を数えるか恒久対策を入れた12月から6か月、月末に誤送付件数と照合で止まった件数を記録

個人名の欄は置かず、担当は部署名までにします。報告書に名前が残ると、次に起きたミスが報告されにくくなるからです。

変更前後の業務フロー図を添える

図1と図3のように変更前後の図を2枚並べると、読む人は「どの工程が消えて、どこに確認が入るか」を一目で判断できます。文章だけの報告書より、承認や差し戻しの理由がはっきりします。

効果の確かめ方を先に決める

効果を見る期間と数えるものは、対策と同時に決めて7つ目の欄に書きます。請求書の例なら、恒久対策を入れた12月から6か月、毎月末に誤送付の件数と照合で止まった件数を記録します。元の件数を数えた期間(半年で3件)と同じ長さで比べ、6か月続けて誤送付が0件なら恒久対策の効果あり、と判断します。

なぜなぜ分析でよくある5つの失敗と対策

「意味ない」と言われる分析の多くは、問題があいまい・人で止まる・1本道・対策が注意喚起・図を直さない、の5つのどれかに当てはまり、どれも手順で防げます。

失敗1:問題があいまいなまま掘り始める

「発送ミスが多い」のような書き方から始めると、参加者ごとに思い浮かべる件が違い、答えがばらけます。ステップ1のとおり、いつ・どの帳票で・何件を1文にしてから始めます。

失敗2:答えが人で止まる

「不注意」「確認不足」「新人だから」が出たら、止まりかけているサインです。言い換えの表の問いに置き換えて、工程と仕組みの話に戻します。

失敗3:1本道で掘って別の原因を見落とす

1つの「なぜ」に答えが2つ出たのに、片方だけを掘ると、残った原因から同じミスが起きます。答えが2つ出たら枝を分けます。候補が多すぎるときは、特性要因図で広げてから掘ります。

失敗4:対策が「注意する」「教育する」で終わる

注意喚起や教育だけでは、手順が同じなので再発します。「工程をなくす」「すぐ後ろで確認する」「間違えられない形にする」の3つの型に当てはめ直し、フロー図のどこが変わるかを書きます。確認を足す場合も、ダブルチェックを重ねる前に、置く位置を見直します。

失敗5:対策を入れた後、図と手順書を直さない

対策が現場の口約束のままだと、数か月後の担当替えで元に戻ります。対策の実施日に図と手順書を直し、報告書の7つ目の欄で決めた日に効果を確かめます。

まとめ|起きた工程を図にしてから「なぜ」を問う

この記事のまとめ

  • なぜなぜ分析は、人ではなく工程と仕組みに向けて「なぜ」を重ね、変えるべき真因を見つける方法
  • 請求書の送り先違いの例では、真因は「並び順の違う2つを手で突き合わせる手順」と「入れ替え時に工程を見直す手順がないこと」だった
  • 5ステップは、問題を書く→工程を図で特定→なぜを重ねる→だからで逆にたどる→手順の変更として対策
  • 「不注意」「新人だから」が出たら、主語を工程に変えた問いに言い換える
  • 対策は、工程をなくす・すぐ後ろで確認・間違えられない形、の3つの型で書き、報告書は7つの欄にまとめる

なぜなぜ分析が責める会や反省文で終わるのは、問いが人に向いているからです。起きた工程を先に図で特定し、「どの工程で・何が」を主語にして問えば、担当者を替えても残る原因に届きます。

対策は「気をつける」ではなく手順の変更として書き、変更前後の図を報告書に添えます。図と手順書を直し、効果を数えて確かめるところまでが再発防止です。

まず、直近で起きたミスを1件選び、その業務の流れを図にして、起きた工程に印を付けるところから始めてみてください。

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よくある質問

なぜなぜ分析は必ず5回繰り返さないといけませんか?
いいえ。5回は目安です。手を打てる工程や仕組みに届き、「だから」で逆にたどって問題までつながれば、3回で止めてもかまいません。逆に、5回目で人に行き着いたときは、問いの主語を工程に変えて掘り直します。
なぜなぜ分析が「意味ない」と言われるのはなぜですか?
答えが「不注意」「確認不足」のように人で止まり、対策が「注意する」で終わることが多いからです。手順が変わらないので、同じミスがまた起きます。工程を主語に問い、対策を工程をなくす・確認の位置を変えるといった手順の変更として出せば、再発防止につながります。
なぜなぜ分析が個人攻撃やパワハラのような場にならないようにするには?
始める前に「分析表に個人名を書かない」「答えは確かめた事実で書く」「対策に『注意する』『気をつける』を書かない」の3つを参加者で確かめます。問いの主語を「誰が」から「どの工程で」に変え、当事者1人に書かせず前後の工程の担当も入れると、責める空気になりにくくなります。
なぜなぜ分析と特性要因図はどちらを使えばよいですか?
原因の見当がつく1件ならなぜなぜ分析から始めます。原因の候補が多く見当がつかないときは、特性要因図で人・機械・材料・方法などの切り口から要因を広げ、有力な1〜2本をなぜなぜ分析で深く掘ります。
事務のミスでもなぜなぜ分析は使えますか?
使えます。事務の仕事は工程が目に見えにくいので、先に業務フロー図を描いて、ミスが起きた工程に印を付けると掘りやすくなります。この記事の請求書の送り先違いの例のように、帳票の並び順や印刷の仕組みといった原因に届きます。

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